おじいちゃんが長くないと聞いてまっ先に頭をかすめたのは、「おじいちゃんが死んだときに使う遺影を油絵で描く」という約束を果たしていないことだった。「ゴールデンウィークに描きに行くからもうちょっとガンバって」なんて言っていたのだが、それを待たずして逝ってしまった。
「納棺まで1日ある!」
仕事を終えてからすぐに帰郷し、時間がないので鉛筆デッサンという形で遺影を描いた。横たわって冷たくなっているおじいちゃん。見て・・触って・・鉛筆を走らせた。絵というのは思いを筆を使ってキャンバスに伝える作業。なので、自然とおじいちゃんとの思い出を振り返り、涙がでた。
50年くらいたったら、おじいちゃんにそっくりなおじいちゃんになって会いに行くよ。それまで空の上で見守っててくれ。
ばいばい、おじいちゃん。